2026年7月1日





病院で身元保証が必要になる場面

身元保証人がいない場合どうなる?

地域連携室はどこまで対応できる?

身寄りがない高齢者はどう備える?


今回は、植木病院地域連携室の川部様をお招きし、病院現場から見た「身元保証」の必要性についてお話を伺いました
高齢化が進む中、おひとり様の高齢者や、家族と疎遠になっている方が増えています。

実際に病院ではどのような課題が起きているのでしょうか。


◆病院はまず治療を優先する

・中島
最近、おひとり様の高齢者が増えていますが、身元保証人がいないことで病院が困るケースはありますか。

・川部
病院は医療機関ですので、まず治療が最優先になります。

救急搬送された場合は、身元保証人や成年後見人の有無にかかわらず治療を開始します。

ただし、その後に問題が発生します。

患者様が意思表示できない状態の場合、

・誰に連絡するのか
・誰が治療方針を決めるのか
・誰が医療同意を行うのか

という課題が出てきます。

治療は止められませんので、治療を進めながら情報収集を行うことになります。


◆後見人と身元保証人は役割が違う

・中島
現場では成年後見人と身元保証人が混同されることも多いのではないでしょうか。

・川部
非常に多いですね。

私たちも以前は混同していたことがありました。

後見人は主に財産管理を行う方です。

一方で、病院が求めているのは、

・緊急連絡先
・医療方針の確認
・医療同意
・退院支援の協力

などを担う存在です。

後見人がいても医療同意はできません。

そのため、後見人が付いているから安心というわけではないのです。


◆入院時に必要となる同意

・川部
入院中にはさまざまな同意が必要になります。

例えば、

・治療方針の選択
・中心静脈カテーテルの挿入
・身体拘束の同意
・緊急時の医療判断

などです。

大きな手術だけではありません。

患者様の状態によっては、比較的小さな医療行為でも同意が必要になります。

その際、家族や保証人がいないと病院としても非常に困ります。


◆おひとり様の場合、病院はどう対応するのか

・中島
本人が話せない状態で、身元保証サービスを利用していることはどうやって分かるのでしょうか。

・中島
当社では会員カードを財布に入れていただいています。

緊急搬送時に病院がそのカードを見つけて連絡をくださるケースがあります。

・川部
そのようなカードがあると非常に助かります。

何も情報がない場合は、

・ケアマネジャー
・地域包括支援センター
・行政機関
・過去の医療機関

などに連絡しながら情報を集めることになります。

本当に手探りです。

住所から地域包括支援センターを調べたり、過去に受診歴がありそうな病院へ問い合わせたりすることもあります。

まるで推理をしているような感覚ですね。


◆家族がいても協力してくれないケース

・上野
兄弟や親族がいても、関わりたくないと言われることがありますよね。

・川部
あります。

患者様の状態が悪化し、

「今後亡くなる可能性があります」

と説明しても、

「もう関わりたくありません」
「連絡しないでください」

と言われるケースもあります。

決して珍しい話ではありません。


◆病院が感じる一番の課題

・久保
ソーシャルワーカーとして一番課題に感じることは何でしょうか。

・川部
退院支援の場面で特に感じるのは、

「誰が決定するのか」

という問題です。

そしてもう一つが、

「お金を管理する人がいない」

ということです。

退院先を決めるにも、施設入所を進めるにも、誰かが判断しなければなりません。

また、治療費の支払いや今後の生活設計も必要になります。

身元保証人がいることで、それらが非常にスムーズになります。


◆病院から見た身元保証の価値

・川部
病院から見ると、身元保証人は家族に近い存在です。

治療方針の相談ができる。

退院後の生活を一緒に考えられる。

施設入所や転院の調整もできる。

そうした役割を担っていただける存在だと感じています。

高齢化が進み、おひとり様が増えるこれからの時代において、身元保証はますます重要になっていくのではないでしょうか。


◆まとめ

今回の対談を通じて感じたのは、身元保証は単なる「入院保証」ではないということです。

病院では、

・医療同意
・緊急対応
・退院支援
・生活支援
・金銭管理との連携

など、多くの場面で支援者の存在が求められています。

おひとり様や、ご家族に頼ることが難しい方にとって、身元保証は安心して医療を受けるための大切な備えの一つと言えるでしょう。