知っていますか?


入院や介護施設の入居には「身元保証」が必要です


病院への入院や高齢者施設への入居の際、多くの場面で「身元保証人」の提出が求められます。


これは、万が一のときに医療・介護の意思決定を代わりに行う人や、費用未払い時に対応する人が必要とされているためです。
厚生労働省の「高齢者の住まいに関する実態調査(令和3年度)」によれば、有料老人ホームの約89%、特別養護老人ホームの約83%が、入居時に身元保証人を必要としていると回答しています。


※出典:厚生労働省「高齢者の住まいに関する実態調査」(令和3年度)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189056.html


では、どのような人が「身元保証」で悩むのでしょうか?


◆子どもがいない、または遠方に住んでいる


◆離婚や死別などで家族とのつながりが薄い


◆家族はいても頼みにくい関係性


◆終活を一人で進めている単身高齢者


◆兄弟姉妹が高齢で保証人として難しい


こうした背景を持つ人にとって、「保証人をどうするか」は切実な問題です。


そもそも「身元保証サービス」とは?


身元保証サービスとは、病院や施設に入る際に必要とされる保証人や連帯保証人の役割を、第三者が契約によって代行するサービスです。


具体的には、以下のようなサポートが含まれることが一般的です:


◆入退院・入退去の手続き支援


◆医療・介護関係者との連絡や意思確認


◆緊急時の対応、搬送の立会い


◆支払い能力の証明や費用精算の協力


◆万一の際の遺体引き取りや遺品整理対応


これは単なる「書類の保証」ではなく、実際にその場に駆けつけ、関係者との間に立つ「代わりの家族」のような存在とも言えるものです。


どんな場面で必要になるのか? 実際のケースを紹介


身元保証が必要になる具体的な場面は多岐にわたります。以下はよくある例です。


◆ケース1:突然の入院
持病の悪化で救急搬送され、医師から緊急手術をすすめられる。意思確認が難しい状況で、誰が手術に同意するのか?
→ 保証人がいなければ、医療行為が遅れるリスクがあります。


◆ケース2:有料老人ホームへの入居
「身元保証人がいなければ入居はできません」と事前面談で告げられる。子どもがいない方にとっては、その場で断念することにもなりかねません。


◆ケース3:老後の一人暮らし中に死亡
死後に発見されても、誰が遺体を引き取るのか? 部屋の荷物をどう片付けるのか? 地方に住む親族がすぐ対応できるとは限りません。


◆ケース4:高齢者の賃貸契約
部屋を借りるときに「高齢者はトラブルが多い」と敬遠される。保証人がいれば安心材料になるが、それがいないと審査で落とされる可能性が高い。


このように、「身元保証」は老後の暮らしのあらゆる局面で関係してきます。


“頼れる人がいない”時代に必要な「しくみ」


昔は「家族がなんとかしてくれる」社会でした。しかし今、家族の代わりに動いてくれる人がいないという前提で備える必要があります。


だからこそ、制度としての「身元保証サービス」が注目されているのです。


大切なのは、「何かあってから考える」のではなく、自分が元気なうちに信頼できる保証体制をつくっておくこと。そうすれば、医療も介護も、自分の望む選択肢の中から選べる余裕が生まれます。


孤独にならないために、そして自分らしい最期を迎えるために。
「身元保証」というキーワードを、ぜひ今のうちから心に留めておきましょう。